会陰部に浸潤した直腸癌に対する骨盤内臓全摘術及び
腹直筋による有茎筋皮弁形成移植術

要町病院付属消化器がんセンター
元、癌研究会附属病院消化器外科
太田博俊
高橋 孝、澤泉雅之、関 誠、二宮康郎

直腸肛門癌が会陰皮膚に広く浸潤し外尿道口にまで浸潤していたため、骨盤内臓全摘術並びに会陰部を大きく合併切除せざるを得ませんが、そうすると一期縫合が出来なくなるため、欠損部を腹直筋皮弁で補填でき、良好な再建が出来ましたので供覧します。
症例は52歳女性です。がんは肛門中心に隆起腫大し、外尿道口から大陰唇にまで浸潤波及しています。MRI、CTで膣、外陰唇への浸潤並びに鼠径リンパ節転移を確認しました。切離予定線をマーキングし、術野への汚染防止にガーゼで被覆しておきます。腹直筋皮弁移植は右側を利用しますので、臍の右で正中切開します。小腸を腹膜バックに収納し、子宮は絹糸で前下方に引き上げ固定しておきます。リンパ節はIMA根部を郭清し、左結腸動脈を温存した末梢で結紮切離し、同じ高さでIMVも結紮切離します。S状結腸間膜を切開していき結腸切離します。左卵巣動静脈切離、分岐部郭清、右卵巣動静脈切離し、左右の尿管を切離し、アトム管を挿入し、尿を体外へ誘導しておきます。仙骨前面ではTMEを進め、尾骨直腸筋を切離し、上膀胱動静脈、子宮動静脈を結紮切離し、閉鎖神経を温存しつつ両側方郭清をします。鼠径リンパ節の腫大があるので、両側外腸骨動静脈リンパ節を郭清します。次に会陰部に移ります。腫瘍から十分距離を取り、皮膚切開予定線で切離を進めます。外生殖器も合併切除します。恥骨を確認し切離を進めます。両坐骨結節を確認し肛門挙筋を切開していきます。左右の下直腸動脈を結紮切離し、膀胱側面から前壁にまわり、膀胱前面ではSantorini静脈叢を収束結紮し、腫瘍を一塊にして合併切除しました。鼠径リンパ節転移があるので鼠径靭帯内外のバルテルおよびローゼンミューラーリンパ節を郭清します。続いて、腹直筋皮弁を作製します。皮弁は会陰部欠損の大きさに関係なく全長を使用します。上縁は肋骨弓部で切離し、下縁は恥骨結合付着部で皮切します。腹直筋筋膜の後鞘は腹膜側につけて筋皮弁を遊離しつつ丁寧に止血します。下腹壁動静脈を確認し筋皮弁と切離部との間を十分遊離しておきます。会陰欠損部の長径を、筋皮弁の上方から計測し、筋皮弁が腹腔内を通る部分の余分な皮膚だけを切離します。有茎筋皮弁の出来上がりです。さて移植に取りかかります。支配血管に加重をかけて損傷しないように皮膚縫合が終わるまで筋皮弁を把持した状態で操作します。さらに余分な皮膚は切離し骨盤腔内に充填すれば死腔を小さくすることが出来ます。回腸導管の作成に入ります。(作図挿入)回腸終末部から10cmで回腸を切離し、導管の長さを13cm取り、先に回腸回腸吻合をします。導管の左断端を閉鎖します。導管の左側に左尿管を移植し、アトム管を導管内を通して右断端より出します。右尿管も同様に移植します。左側の人工肛門は左腹直筋内を通して造設します。右側の回腸導管は腹直筋がありませんが、人工肛門とやや高さを違えて造設しました。大きく欠損した会陰部への筋皮弁移植術で癌浸潤部はきれいに修復されました。摘出標本です。







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